乳がん検診で精密検査になった方へ
会社の健診や無料クーポンなどで乳がん検診を受け、「要精密検査」という通知が届くと、多くの方が不安になってしまうかと思います。
当院にも「通知が届き、心配で慌てて受診しました」という方がいらっしゃいます。
では、どのような方が、精密検査になるのでしょうか。
視触診で異常がなくても、マンモグラフィ検査や超音波検査で異常がみられた場合は、精密検査になります。
ちなみに検査画像は、下記の5つのカテゴリーに分類し、診断を行います。
カテゴリー1 : 異常なし
カテゴリー2 : 明らかに良性と判定できる所見がある
カテゴリー3 : 良性の可能性が高いが、悪性の可能性も否定できない
カテゴリー4 : 悪性の疑いがある
カテゴリー5 : 悪性の可能性が非常に高い
精密検査の対象となるのはカテゴリー3・4・5に該当する方ですが、一番多いのは“カテゴリー3”という結果の方です。
このカテゴリー3というのは、乳がん早期発見のために、少しでも疑わしいものは念のため調べましょうという拾い上げの意味合いも込められています。
すなわち、その多くは『がんではない』ということなのです。
ちなみに公益財団法人日本対がん協会の“乳がん検診の現状”によると、
1万人の方が検診を受け、要精密検査になった方は536名(うち467名が受診)、乳がんが見つかった数は24名、
また、日本医師会の“がん検診によるがん発見のデータ”によると、
1万人の方が検診を受け、要精密検査になった方は870名、そのうち乳がんが見つかった方は32名だそうです。
※各検診施設で受診者の年代割合やデータ収集方法が異なるため、カテゴリー3で精密検査になる方の数にも差異があります。
これら2つのデータから、おおむね、自覚症状のない方1000名が乳がん検診を受けて、2~3名に乳がんが見つかったということになります。
「要精密検査=悪性」というわけではなく、精密検査を行なった結果、90%以上の方は異常なしもしくは良性の診断を受けているのです。
怖がりすぎず、かと言って自己判断せず、速やかに乳腺外科を受診しましょう。
なお、“要精密検査”の通知がある方は、保険診療となりますので、受診の際は
保険証をお忘れなくお持ちください。
by Aya