潰瘍性大腸炎、病態把握が楽になる?
肛門外科診療を行っていると、潰瘍性大腸炎という原因不明の大腸の炎症をおこす病気の診断に至ることがあります。
主な症状は下血や腹痛、下痢ですが、出血以外に目立った症状の出ていない方もいます。
この病気に対する根本的な治療はまだなく、悪化したり、落ち着いたりを繰り返します。
病気の状態を把握するためには、大腸内視鏡検査が必須です。
毎回2リットルの薬を服用して大腸内の便をすべて出してから受けるもので、手間のかかる検査です。
今年6月に便の中のカルプロテクチンというたんぱく質を測る検査キットが発売されました。
カルプロテクチンは大腸の炎症を直接反映するため、年に1回ほどの頻度で大腸内視鏡検査を受けていた患者さんが、年に数回(原則3か月に1度まで)この新検査を受けることで、症状がひどく悪化する前に、病気の再燃(悪化)を把握できるそうです。
潰瘍性大腸炎は悪性の病気ではありませんが、日常生活に大きく影響する病気のひとつです。
患者さんが少しでも楽になる方法が、実際に使えるようになり、嬉しく思います。
Akiko