乳腺の良性のしこり
昨日のAIR-G’ brilliant days Fでは、日常の診療の中で多くみられる、乳腺の良性の病気についてお話しました。
まずは、線維腺腫。
乳腺の良性腫瘍の代表格で、ご自身は気が付いていないけれど、超音波検査を受けると見つかる頻度の高い腫瘍です。
女性ホルモンの影響が考えられるため、生理が始まってから40代くらいまでに好発します。
閉経を迎えると大きくなりにくくなるのも特徴です。
通常は1cm前後から3cmくらいで発見されることが多く、自覚症状が出てから診断される場合は2cmくらいになっていることが多いです。
ひとの拳大になることもあります。
ときにはがんと区別しにくい病変として発見されることもあり、その場合は細胞診断や組織診断など、針を使った検査が必要になります。
経過を見て、大きくならないものは、とくに治療は必要ありません。
線維腺腫とよく似た腫瘍として、葉状腫瘍があります。
やはり2,3cmで見つかることが多いのですが、細胞診断や組織診断をしても、線維腺腫と葉状腫瘍の区別がつかないことがありますので、時間とともに大きくなるものに対しては、切除を行い、病理検査で詳しく調べます。
葉状腫瘍と線維腺腫の大きな違いは、葉状腫瘍には悪性のものがあるという点です。
がんではありませんが、悪性で、ときに転移を起こします。
よくみられるしこりには、もう一つ嚢胞があります。
これは袋状の構造のなかに分泌がおこり、液体がたまったもので、大きくなるとしこりとして触れ、痛みが出ることがあります。
その場合は、たまっている液体を注射で抜き取ることで症状は治まります。
高齢の方の場合は、なかに腫瘍ができていることもあります。
検査方法は、視触診、マンモグラフィ検査、超音波検査が主体で、場合によっては病理学的検査を追加します。
いずれの場合も、今後どのような経過をたどるのか、そしてどのように経過を見ていくと安心なのか、という説明をよく聞いていただければ、不安を感じて過ごす必要はありません。
気になるしこりがあれば、受診してください。
Akiko