思春期のむねのこと
札幌フィメールクリニックには、お母様と一緒に10歳前後の女の子が乳腺外科を受診することがあります。
主な症状は、胸の痛みとしこりです。
第2次性徴が始まると、女の子のおっぱいが少しずつ膨らんでくるのは、もちろん皆さんご存じと思います。
女の子は思春期になると乳腺が発達し、陰毛やわきの毛が生え始め、初潮を迎えるという過程をたどります。
乳腺が発達しはじめる平均は9歳数か月とのことで、早くに発達するお子さんは、平均より2年ほど早くても不自然ではありません。
乳腺の発達の段階で、乳頭の奥にしこりができ、これが痛むことがあります。
はじめは左右差があることも珍しくありません。
痛みやしこりがあらわれるかどうかは個人差がありますので、経験した覚えのないお母様がたくさんいらっしゃると思いますが、
「まだ生理も来ていないのに、胸を痛がっている」
という状況に不安を抱くようですね。
民間企業の調べでは、小学5,6年生で初潮を迎える女の子が、約6割を占めるそうです。
私は40年前に小学生でしたが、同級生で小学生のうちに初潮が来たのは、クラスで数名だったのではないかと思います。
その後女の子の親になり、小学生だった娘の修学旅行の説明会で、多くのお母様が「旅行中に生理期間がぶつかりそうだ」と話していましたので、このリサーチは概ね現実を反映していると実感しています。
受診された場合は、お話を聞き、視触診と念のため超音波検査を行います。
乳腺腫瘍は月経周期がおこってから発生しますので、初潮がきていない女の子の胸のしこりは、腫瘍ではない可能性のほうが高いのですが、両側のむねのエコーを行うと、ちゃんと両側に乳腺が発達し始めており、少しだけ左右差あるというのが確認できます。
患者さんである女の子にも、画像をみてもらい説明しています。
ちゃんとおっぱいが大きくなろうとしているよ、と。
まれに、赤ちゃんのおっぱいが膨らんでいるとの相談もあります。
おなかの中にいる間にお母さんの女性ホルモンの刺激を受けて、乳房が肥大するものと考えられていますが、時期におさまるものです。
また2歳以下でもおっぱいが膨らむことがあります。
両方が大きくなりますが、大人のような乳房になることはありません。
原因ははっきりしていませんが、治療の必要はなく、年単位でおさまっていきます。
7歳前で、急に身長がのびたり、2次性徴のような変化が見られた場合は、思春期早発症という病気の可能性がありますので、まずは小児科に相談してください。
初潮を迎えてから、一気に大きくなった乳腺の良性腫瘍は、たまに経験しますので、痛みを伴わないしこりは、乳腺外科ご相談ください。
Akiko