看護師国家試験日
私の娘は看護師です。
親子で同じ学校を卒業しました。
その娘が看護師国家試験を受ける時にこんなことを言いました。
札幌以外に在住の学生は、国家試験の前日に札幌入りするようにと先生が言っていた。
過去に猛吹雪で列車が運休になって大変だった年があったそうだよ。
えーっ、それは母の学年のことだよ!!
昭和某年3月看護師国家試験日のことです。
母校で寮生活を送る学生は、毎年試験当日に列車で札幌の試験会場へ行っていました。
しかしわたしの時は、悪天候のため列車が運休になってしまいました。
幸い高速道路は通行止めになっておらず、タクシーで会場に行くことになりました。
寮生約20人は4人一組で乗車し札幌の会場へ向かいました。
高速道路は悪天候のためノロノロ運転です。
視界はほぼゼロです。
運転手さんから追突されるかもしれないからと言われ、事故に遭いませんようにと緊張したままの乗車でした。
無事に到着したときには、同級生どうしほっとして喜び合いました。
しかし、最後の4人がなかなか到着しません。
携帯電話などなかった時代です。
彼女たちが顔を真っ赤にして濡れたコート姿で教室に入ってきたのは試験開始直前でした。
遅れた理由は、高速道路走行中にタクシーのワイパーが故障し、助手席に乗っていたオチくんの『手動ワイパー(窓を開けて左手でフロントガラスの雪を払った)』で高速道路を走行、札幌に下りたところで違うタクシーに乗り換えて来た、でした。
信じられないことですよね。
緊張感たっぷりの試験日でした。
結果は全員合格、本当に良かった。
あの日、猛吹雪の中、腰まで積もった雪を掻き分けながら寮まで来てくれて、頑張って来いと送り出してくれた院長先生。
その姿を今でも鮮明に覚えています。
手動ワイパーの件は同期が集まる度に大爆笑になります。
そして、最後にもうひとつ、試験終了直後にある同級生が語ったことです。
試験監督が回って来るたびに机をトントンと叩いて行った。
不思議に思っていたら、受験番号を書いていないことに気が付いたと。
机を叩いてくれなければ合格できませんでした。
毎年この時期に思い出す昭和の出来事です。
Keiko