南京玉簾

近頃、京、大阪、江戸、北海道は札幌市におきまして、流行り来るは、唐人、阿蘭陀、南京、無双の玉すだれ…。
お手拍子はこのようにお願いいたします。
アさて、アさて、さてさてさてさて、さてはなんきんたますだれ~、ちょいと返せば…。
聞いたことがあるでしょうか。
南京玉簾の口上と、演じる前の掛け声です。
私が玉すだれを始めたきっかけは、息子の中学卒業時の謝恩会で、あるお母様が楽しそうに演じていたのを見たからです。
歌えない踊れないわたしにはこれしかないと思い、師匠(演じたお母様)に弟子入りしました。
他にも私と同じ考えの人がいて、グループ名を「はっぴいマザー」と決め5人でスタートしました。
途中メンバーの入れ替えがありましたが、今は初期メンバー4人を含む5人で活動しています。
かれこれ15年以上経ちました。
当初は観客がたくさんいるところで演じたいという思いが強く「身の程知らず」でした。
ほんとうに恥ずかしい。
気持ちが変わったのは、ある年の暑い夏の日曜日、地域のお祭りを新たに始めた催しに参加するため、琴似まで師匠と2人で出かけた時でした。
師匠は二日酔い気味(笑)、私は仕事で疲れていました。
身体は重たくて行きの電車のなかで、参加すると決めたことを後悔していました。
暗い気持ちのまま会場に着いたのに、スタッフのみなさんや他の出演者の方々、観客の皆さままで、玉すだれをとても楽しみにしていると言ってくださいました。
いっきに身体が軽くなり、ノリノリで演じることができました。
小さな会場でしたが大変盛り上がり、初めて心から楽しいと感じ感動しました。
盛り上げてくれた皆さまに感謝の気持ちでいっぱいになりました。
それからは、参加させていただけることに感謝して演じています。
どこで演じてもお客様が少なくても楽しいですね。
メンバー全員そう思っています。
地域のお祭りに参加したり老健施設に呼ばれたり、見てくださる方々と近い距離で演じさせていただいています。
1人から5人まで5通りのバージョンを考え、その都度参加できるメンバーで協力し合っています。
もちろんボランティアです。
さて、私の玉すだれ愛が伝わったでしょうか。
ただ「はっぴいマザー」の演技は、そんなに上手ではありません。
ごめんなさい。
愛だけでは超えられない壁があるのです。
だから可愛い衣装とキラキラ簾でごまかしています。
誰かが失敗しても、笑顔でほかのメンバーがフォローしてくれます。
これからも5人で笑いながら、細く長く活動していきます。
Keiko