便秘治療の変遷

benpiyaku

昨日のAIR-G brilliant days Fでは、便秘治療が大きく変わってきた、というお話をしました。

以前にも慢性便秘の良い薬が登場し、外来診療で多く処方していることをブログにあげています。 

 

西洋文化が入ってくる以前の日本には、今ほど便秘という概念はなかっただろうといわれています。

日本で便秘解消に下剤を使うということのはじまりは、いつなのかはっきりしていませんが、江戸時代中期に出版された話で、のちに古典落語の原話となった「夏の医者」のなかに、農夫を助けるために薬箱をもって向かった医者が大蛇にのまれ、その蛇のお腹の中で下剤をまいて下痢をさせ、脱出するというくだりがあり、江戸時代にはすでに下剤が存在していたと推測されているそうです。 

 

昔々からある大腸刺激性下剤は、センノシド、センナ、ダイオウを主成分とするものです。

過去にも話題に取り上げましたが、これらを長く常用すると、大腸の粘膜が黒く変化し、腸管内の神経にも影響を及ぼし、大腸の機能がさらに低下してしまいます。

すると下剤が徐々に効きにくくなり、便秘の状態のさらなる悪化につながります。  

 

原因となる成分は、私たちが気軽に薬局で購入できる下剤に含まれている成分でもあります。

漢方薬にも含まれているものがあります。実はアロエもその一つです。

自然の生薬や植物由来だと、身体に優しいだろうというイメージを持っていることが多いと思いますが、そうではありません。

またダイエット用のお茶などにも、この成分が含まれていることがあります。  

 

そんな江戸の時代から、ほとんど発展のなかった便秘治療に大きな変化が訪れたのは、ここ数年の話です。 

 

薬の具体的な名前を挙げると、リンゼス、グーフィス、アミティーザ、モビコール、ラグノスが順次発売され、高齢者にも安全に使用できるものがあります。

またモビコールは2歳以上の小児にも適応があります。 

 

札幌フィメールクリニックでは、便秘の程度に応じて処方薬を決定し、治療しています。

ファーストチョイスは、整腸剤と便を軟らかくする薬です。

軽度の便秘の方はもちろん、頑固な便秘だと思い込んで市販の下剤に頼っていた方でも、効果が認められることがあります。

効きすぎず、スムーズなお通じを目指して、患者さんそれぞれに合った薬を調整して治療をすすめていきますので、便秘くらいでと思わずに相談してください。 

 

Akiko 

 

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