大丈夫じゃない

himawari

時と場合により、言葉はお互いの意思疎通を阻むことがありますね。

誰しも経験があるのではないでしょうか。 

先日あるコラムで、医療現場における「大丈夫」という言葉についての記事を読みました。

医療従事者が発する「大丈夫ですか?」という問いに対して、患者さんが言う「大丈夫です」の間には、大きな違いが生まれていることがあるというものです。 

 

患者さんは「大丈夫じゃない」から来院しているので、大丈夫ですかという曖昧な問いかけは、お互いの理解を深めることにつながらないこともあると、コラムを読み、あらためて自分の診療について振り返ってみました。 

 

広辞苑で「大丈夫」を引くと 

①ダイジョウフともよみ、立派な男子のこと 

②しっかりしているさま、ごく堅固なさま、あぶなげのないさま 

③まちがいなく、たしかに 

とあります。 

言葉の解釈だけみると、医療現場で頻繁に使われることが不思議に思えますが、日常会話では、頻繁に意識せず使っていますね。 

 

医療現場での使い方としては 

「大丈夫ですか?」「(痛みはあるが我慢できるので)大丈夫です」 

「大丈夫ですか?」「(治療が効いてきたので)大丈夫です」 

「大丈夫ですか?」「(症状は悪化していないので)大丈夫です」 

などでしょうか。 

カッコ内の部分をお互い共通認識している場合は、成り立つやり取りです。 

ところが、 

「大丈夫ですか?」「大丈夫です(まだ痛みがあるから今は話しかけないで)」 

「大丈夫ですか?」「大丈夫です(薬を休んでいたからあまりかわらない)」 

「大丈夫ですか?」「大丈夫です(ちょっと症状が気になるが話しにくい)」 

など同じシチュエーションに見えても、思っていることが違うかもしれません。 

 

私が診察時に心がけていることは、ひとことでいうと「わかりやすく」です。

医療専門用語を使いすぎず、答えやすいように質問することを心がけています。 

そのように考えていても、大丈夫ですか、という言葉を使うことはたくさんあります。 

例えば、「この注射をすると、こんな症状が一時的に感じられることがありますが、大丈夫ですか?」「「はい、今のところ大丈夫です」といった具合です。 

何が大丈夫なのかを具体的に問うのであれば、「大丈夫ですか」は誤解されることは少ないと考えます。 

 

医療機関では、みなさん遠慮せず、「大丈夫です」で終わらせずに、ご自身の症状や悩みを話してみてください。 

 

Akiko 

 

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