がん防災
昨日のAIR-G brilliant days F では、がん防災のお話をしました。
がんは自分とは無縁なものと思っている方はたくさんいらっしゃると思います。
そして、いざ診断されたときには驚いて何も考えられなくなるという方も、少なくないでしょう。
9月に、HTB主催のピンクリボントークに参加しました。そのテーマが「がん防災」でした。
日本人の2人に1人は何かしらのがんに罹る時代です。
がんに罹ったときのことを考えて、災害のように「がんに備える」ということを提案したトークでした。
患者さん数名が参加し、体験をお話してくれました。
この中で、やはり仕事とお金の問題が挙げられました。
乳がんの罹患率のピークは40代後半からですから、年齢的には仕事で重要なポストを担っていることも多くなります。
治療中でも仕事を休めない、同僚に迷惑をかけられないと、つらい副作用をこらえて仕事をし続ける方もいます。
休みがちになることを考え、仕事を辞める決断をする方もいます。
するとやはり、お金の問題が生じてきます。
深刻な問題です。
保険に加入していて助けられた、またもっと手厚い保険を選んでいても良かったという言葉がきかれました。
お子さんがいる場合は、家族のサポートも欠かせません。
ひとりひとり、その解決法は異なると思います。
では、私が考える「乳がんに備える」こととは。
まずは、セルフチェックです。
やり方がわからない、胸が小さいから大丈夫など、いろいろな理由でセルフチェックの習慣を持たない女性が多く、まったく無関心だったという方も少なくありません。
私は20代からセルフチェックをおすすめしています。
20代の女性が乳がんにかかることは非常にまれですので、まだ定期的な検診は必須ではありません。
生理が終わったころに、乳房全体をやさしくなでるように触れてみましょう。
乳腺外科での診察時によく驚かれることの一つが、触れるときの加減です。
力はほとんど入れません。
乳房は強く押すと痛みが出やす臓器ですので、やさしく、まんべんなく触れてください。
そして定期的な乳がん検診です。
国は40代からの定期検診を勧めていますが、私は余裕があれば35歳くらいから受けてみてほしいとお伝えしています。
乳がんに罹る人が増える年代は40代後半からですが、35歳くらいから増加し始めるからです。
それから、閉経を迎えると女性特有のがんと無縁になると思っている方が多いのですが、乳がんの発症年齢のピークは60代で、現在は70代も高く推移しています。
乳がんには、子宮頸がんワクチンのような予防法はありません。
ご自身で備えるしかないのです。
今現在、がんと診断されていない人も、ほんのちょっとだけ想像してみて、自分にとって必要な備えについて考えてほしいと思います。
Akiko