本の紹介〈いのち〉とがん
<いのち>とがん 患者となって考えたこと
著者 坂井律子
この本は2019年2月20日に出版されました。
私が購入したのはその年の春でした。
2019年1月の健康診断で肺に影があると指摘され、大学病院呼吸器科で経過観察していたときに出会った本です。
がんかもしれないと不安な気持ちで過ごしていたときに、読み始めました。
そして、最終章「Ⅳ今、生きてきたように闘病する」を読んでいた6月に、悪性リンパ腫と診断されました。
がんを受け止めることはできましたが、命については考えられなくて、治療が終わっても残りの十数ページを読めませんでした。
本を読み終えたのは、治療後1年以上経ってからです。
再発がなかったから、読み終えることができたのかもしれません。
あるいは、再発して命と向き合うことができた時に、読み終えたかもしれません。
いろんな思いがありますが、最終章を読み終えていなくとも、私にとってこの本は、「がん治療の道標」でした。
坂井律子さんは「言葉は大きな力を持つ」と書いています。
それらの言葉が、私の気持ちにいつも寄り添ってくれました。
私はがん患者として読みましたが、この本をがん患者や医療従事者だけでなく、多くの人に読んでほしいです。
「患者となって考えたこと」を知ってほしいです。
本の帯にも書かれている「はじめに」の文章を載せます。
「病気になって感じたこと、考えたこと。勉強したこと、好奇心が掻き立てられたこと。感謝したこと、憤ったこと。医療に携わる人にわかってほしいこと、健康な人にもわかってほしいこと。
病気になった自分と、伝える仕事をしてきた自分の接点で、いまなし得ることをしてみるべきかもしれない。
これは、そう思って始める、小さな記録である。きっと生き抜くという自分の気持ちの杖にすぎない。しかし、もし誰かの気持ちのどこかに届くものになれば、とても嬉しい。」(「はじめに」より)
届きましたよ。
言葉は大きな力を持っています。
この本を書いてくださったことに感謝いたします。
Keiko