学会にて学ぶ
先日、横浜で開催された日本乳癌学会に参加してきました。
乳がん治療の発展はめざましく、次々に新薬が登場し、数年でその適応が拡大するなど、ちょっとぼんやりしているとあっという間に浦島太郎です。
今回も、いろいろな新しい考え方や治療法について、今後の展望について、ためになる講演を聴くことができました。
治療効果を上げつつも、むだな治療は極力省き、患者さんのメリットを最大限にするべく、多くの乳腺外科医が日常診療を行いながら、研究にも取り組んでおり、頭が下がります。
私は肛門外科医でもあることとから、腸内環境についてもたいへん高い関心を持っていますが、がんと腸内細菌の関係についても、とても研究されていました。
とくに免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けるときに、腸内環境を良好に保つことで効果がたかまると報告されています。
総数が40兆個くらいだろうとされている腸内細菌ですが、がんに対して予防的に働く、発生と促進に関与する、また薬の効果に影響を与えるということがわかってきています。
治療時に食物繊維を追加したり、整腸剤を追加したりすることが、治療効果がさらに高まる可能性があると報告されています。
ただし、腸内環境は国民性があり、居住地域が近くても腸内細菌叢は異なっています。
日本人の乳がん治療において、どのような腸内環境改善策が効果的かは、これから徐々にわかってくるのではないでしょうか。
私は症状のある方の診断を少しでも速やかにすすめ、また乳がん検診を受けることを勧めるくらしかできませんが、乳がんが治る時代を夢見ている1人です。
リアルタイムで聴講できなかった興味深い演題がたくさんありますので、今後オンデマンド配信でさらに知識を深めたいと思います。
みなさん、セルフチェックしながら年1回の乳がん検診を受けてくださいね。
Akiko