性感染症
毎年9月下旬に、東京で女性医師大腸肛門疾患研究会(通称JKK)が開催されており、全国から肛門外科診療に携わる女性医師が集まっています。
今年も9月24日に開催され、日帰りで参加しました。
毎回主題が変わり、主題にそった講演を拝聴し、また参加者のうち数名が演題発表も行います。
今回のテーマは性感染症でした。
肛門外科で性感染症?と思う方もいるでしょうが、女性肛門外科では性感染症による症状で来院される方が、毎日のようにいらっしゃいます。
ヘルペス感染症、クラミジア直腸炎、肛門尖圭コンジローマが多く、ときには梅毒感染を診断することがあります。
ヘルペス感染症は唇にできるもの、性器や肛門にできるものがあり、初めての感染ではたくさんの水疱ができ症状は強いですが、再発になると数か所の水疱ができるだけで、自然におさまることもあります。
頻繁に繰り返す場合もありますので、治療が必要です。
クラミジア感染は子宮頸管炎をおこしますが、直腸にも炎症がおこる場合があります。
痛みのない下血や粘液がみられることが多く、痔の症状や腸の病気を心配して、肛門外科を受診されます。
性器にも感染しているケースが多く、治療が必要です。
肛門尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスの感染によるものです。
今年4月から定期接種に追加された子宮頸がんワクチンのシルガードで予防が可能です。
肛門や性器に皮膚いぼが多発するのが特徴です。
梅毒感染は増え続けており、厚生労働省からも情報発信されています。
とくに若い世代において、性産業を中心に拡がっているのではないかと予想されていますが、増加の決定的な原因はわからないそうです。
梅毒は症状がでても、時間がたつと自然とおさまるために、感染しても気が付かずに過ごす場合が多くあります。
最初の症状は、性器や口に小さなしこりができ、その後手のひらや身体に小さな発疹がたくさん出現します。
その症状はいったんおさまりますが、感染の状態が持続し、さらに時間が経つとほかの臓器が侵され、ときには命にかかわることもある病気です。
また妊婦さんが感染すると、おなかの中の赤ちゃんにも感染してしまいます。
心配な症状は、性器の場合は婦人科へ、肛門の場合は肛門外科へご相談ください。
Akiko