更年期、治療と一緒に乳がん検診
昨日のAIR-G brilliant days Fでは更年期障害の治療と乳がん検診のお話をしました。
女性は閉経の時期がくると、卵巣から分泌される女性ホルモンが低下し、それによりさまざまな症状が出ます。
まったく自覚症状なく閉経を迎える人もいますが、8割くらいが何かしらの症状を感じると言われています。
ホットフラッシュとよばれる、ほてりやのぼせの症状がよく知られていますが、他にも、頭痛や肩こり、いらいら、うつ症状など数えきれないほどあるそうです。
そのような症状のうち、日常生活に支障をきたしてしまうものを「更年期障害」といい、治療の対象になります。
更年期障害の治療には、漢方薬による治療もありますが、ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy : HRT)が広く行われています。
HRTは内服薬だけでなく、パッチ(身体に貼るシール)タイプやジェルタイプなど、種類も多くあります。
クリニックを受診する患者さんの中でも、多くの方が処方をうけています。
良い治療法なのですが、心臓や血管、脳の病気があり、病状を悪化させる可能性がある場合は受けられません。
また、乳がんは女性ホルモンの影響を受けて増殖するタイプがあるため、乳がん患者さんに対しては、HRTを検討する場合は、治療薬の選択や、治療導入の時期について、慎重に判断する必要があります。
HRTの開始時に乳がんに罹っていないかどうかを調べることは、必須といっても言い過ぎではなく、またホルモン補充療法継続中は必ず、1年に1回の乳がん検診を受ける必要があります。
更年期症状を緩和できるHRTですが、4年ほど前、The Lancetという医学雑誌に、
閉経後のすべてのHRTが、乳がんの発症リスクを高め、その影響は、HRT中止後も10年を超えるものである、と発表されました。
辛い症状を我慢する必要はないと思いますが、治療を始める際は、まず乳がん検診を受けていただきたいと思います。
そして、症状が改善し長く安定していたら、HRTをいつまで続けるかを婦人科の主治医とよく相談することをおすすめしたいと思います。
そしてHRTに携わる医師やスタッフの皆さんが、患者さんに一言、乳がん検診のことを伝えてくれたら嬉しいです。
写真は近くの諏訪神社の花手水です。
いつもとても素敵なので、お正月飾りを納めに行ったときに撮影しました。
Akiko