腫瘍マーカー
昨日のAIR-G brilliant days Fでは、腫瘍マーカーのお話をしました。
人間ドックや健康診断で腫瘍マーカーを調べたところ、数値が上昇しているとの結果が出て、あわてて外来を受診される方がいらっしゃいます。
腫瘍マーカーというのは、がん細胞あるいはがん細胞の影響で別の細胞から作られたたんぱく質などを測定したものです。
がんの診断や治療に補助的に利用されるもので、腫瘍マーカーを調べるだけで、どこにがんがあるか的確にわかるものではありません。
また肝臓や腎臓の障害など、がん以外の病気や服用中の薬、喫煙などの生活習慣でも異常値を示すことがあります。
腫瘍マーカーが正常値を上回っているからといって、がんがどこかにあるというわけもないのです。
腫瘍マーカーは血液や尿を用いて測定しますので、簡単に調べられるというイメージがあるのではないでしょうか。
しかし科学的根拠に基づいたがん検診のなり替わるものではありません。
またごく早期のがんでは、腫瘍マーカーは上昇していない方が多いのです。
CEAという腫瘍マーカーは、胃がん、大腸がん、肺がん、すい臓がん、乳がん、子宮がんで上昇する可能性がありますが、肝臓の炎症や糖尿病でも異常値が出ることがあります。
CA125は子宮体がんに特異的ですが、子宮内膜症や子宮筋腫でも上昇しますし、エストロゲンの影響を受けるため、生理中や妊娠中は判定がしにくくなります。
またエストロゲンを含む薬を服用している場合は、その影響を考慮して判断する必要があります。
今後は医学のさらなる研究により、血液や尿などの体液で早期に診断できる時代がくる期待がありますが、現状は画像診断を用いたがん検診が基本で、腫瘍マーカー測定はあくまで補助的診断であることを知っていただけたらと思います。
乳がんはマンモグラフィ検査と必要に応じ超音波検査を併用した検診が基本です。
大腸がん検診は便潜血検査でスクリーニングを行いますが、出血しているかどうかを調べるものなので、大腸がんの好発年齢である50歳以上のかたは、人間ドックなどで大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
いずれも札幌フィメールクリニックで実施しています。
Akiko