甲状腺の主な病気について
甲状腺は首ののどぼとけの下にある、蝶が羽を広げたような形をした重さが15gほどの臓器です。
小さな臓器ではありますが、人が生きていくために必要なホルモンを産生します。
甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を活発にし、交感神経を刺激して心臓の働きや体温の上昇、発汗を促す働きを担っています。
また胎児や子供の成長、発達を促進するという役割もしています。
通常甲状腺ホルモンは、多すぎたり少なすぎたりしないようバランスが保たれていますが、甲状腺の働きに異常が現われると、バランスが崩れてしまいます。
甲状腺ホルモンの異常をおこす病気に「バセドウ病」と「橋本病」があります。
男性よりも女性に多くみられますよ。
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が高まり過ぎる病気です。
症状は甲状腺が腫れる、眼球の突出、動悸、息切れ、頻脈、不眠、皮膚の痒み、食べても痩せる、多汗、暑がり、手指の震え、イライラ、月経不順、下痢気味などがあります。
すべての症状が出るわけではありません。
一方、橋本病は甲状腺ホルモンの分泌が減り、新陳代謝が低下する病気です。
症状は、甲状腺が腫れる、気力の低下、疲れやすい、全身のむくみ、貧血、徐脈、食欲低下、寒がり、筋力低下、体重増加、声のかすれ、月経過多、便秘傾向などがあります。
このように、どちらの病気も症状が多様ですが、とくに甲状腺機能低下の場合は特徴があまりなく、甲状腺の病気と診断がつくまで時間がかかることもあります。
また一般的な健康診断の検査項目の中に、甲状腺ホルモンが入っていないことも多く、発見が遅いのかもしれませんね。
甲状腺には腫瘍ができることもあり、良性と悪性に分けられます。
良性のほとんどは経過観察です。
大きくなる傾向があれば手術も検討します。
甲状腺がんの場合は、進行が遅く予後も良好なことが多いです。
小さなものはがんだと診断がついても、すぐに手術をせず経過をみていくこともあります。
甲状腺の病気の診断には、触診、血液検査、超音波検査、腫瘍の場合は穿刺吸引細胞診などを行います。
甲状腺の病気の多くは命にかかわるようなことは少ないですが、ホルモン異常を起こす場合は適切な治療を受けなければ病状が進んだり、生活の質が低下することもあります。
甲状腺の病気は女性に多くみられるということから、札幌フィメールクリニックの乳がん検診フルコースには甲状腺エコー検査が含まれています。
受診者さんの自覚症状がなくても、甲状腺の腫大や腫瘍が見つかることがあります。
必要に応じて細胞診断や血液検査を行うこともできます。
まだ乳がん検診を受けたことがないという方は、甲状腺エコー検査も含まれるフルコースをおすすめします。
Mami