免疫のしくみ
1月3日に、今年初めてのAIR-Gbrilliant days Fに出演しました。
新年最初のおはなしは、免疫のしくみについてです。
昨年「はたらく細胞」というアニメが面白いと、ブログに載せました。
年末には、実写版映画を見に行きました。
アニメのなかで免疫細胞がたくさん登場し大活躍するのですが、からだの免疫のしくみについてわかりやすくお伝えしたいと思います。
免疫というのは、身体を守るために病原菌など外から入ってきた異物に反応してそれを排除する、健康を守るためには不可欠なしくみです。
ヒトの身体は皮膚や粘膜、粘液で表面がバリアされていますが、これを突破してきた外敵に対抗するのが、免疫システムです。
血液中には、酸素を運ぶ赤血球と、免疫を司る白血球、そして血小板が存在します。
免疫の担い手は白血球です。
免疫には2つのシステムから成り立っており、ひとつは「自然免疫」です。
自然免疫を担うのは、単球という樹状細胞とマクロファージ、顆粒球という好中球、好酸球、好塩基球、そしてNK細胞です。
いつも体内を監視してくれて、異物が入ってきたらすぐにやっつけてくれます。
そして樹状細胞は敵に遭遇したあとにリンパ節に移動して、どんな外敵がやってきたかをリンパ球に伝える重要な役割も担っています。
マクロファージは、外敵をどんどん自分の中に取り込んで処理し、好中球などの顆粒球を呼び寄せます。
この樹状細胞は、1973年にアメリカのSteinman氏らにより発見されました。
比較的最近のことです。
この業績により、彼は2011年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。
2つ目は「獲得免疫」です。
自然免疫で対抗できない外敵に対して、獲得免疫チームが登場します。
敵を倒す力がすぐれ、がんにも対抗してくれます。
この担い手が、リンパ球であるT細胞とB細胞です。
B細胞はヘルパーT細胞と連携し、外敵の抗原に対する抗体をつくり外敵を排除します。
B細胞の一部はメモリーB細胞になり、侵入してきた抗原を覚えて、次の侵入があったときには、すばやく対処できるようになります。
このしくみを利用したものが、ワクチンです。
ヘルパーT細胞は攻撃の司令塔で、キラーT細胞に情報を伝えます。
キラーT細胞の攻撃力はとても高いのですが、これらが暴走しないようにする制御性T細胞というものも存在します。
この細胞については、私が医師になったころには、その存在がわかっていませんでした。
少しややこしいかもしれませんが、ヒトの体に備わっている素晴らしいしくみを理解してもらえたらうれしいです。
そして興味のある方は少しの予備知識があると、アニメと映画をさらに医学的な視線でも楽しんでほしいと思います。
Akiko