腫瘍マーカーのおはなし

tumormarker

昨日のAIR-G 「ふふふ」では、腫瘍マーカーのお話をしました。 

先日、札幌フィメールクリニックで検査を行った患者さんに、乳がんの診断であったことをお話した際に、「今年受けた健康診断の腫瘍マーカーは、異常がなかったのに、どうして?」とおっしゃっていたことが、印象に残っています。 

腫瘍マーカーというのは、がん細胞から、あるいはがん細胞の影響で別の細胞から作られたたんぱく質などを測定したものです。

がんの診断や治療に補助的に利用されるもので、腫瘍マーカーを調べるだけで、どこにがんがあるか的確にわかるものではありません。 

そして、比較的早い段階にみつかったがんの場合に、診断されたときから腫瘍マーカーが上昇している方はごくわずかです。 

また肝臓や腎臓の障害など、がん以外の病気や服用中の薬、喫煙などの生活習慣でも異常値を示すことがあります。

腫瘍マーカーが正常値を上回っているからといって、がんがどこかにあるというわけでもないのです。 

腫瘍マーカーは血液や尿を用いて測定しますので、簡単に調べられるというイメージがあるのではないでしょうか。

しかし、がんに罹っているかどうかを知るという点では、前立腺がんなどの一部を除くと、現在行われている学的根拠に基づいたがん検診に、なり替わるものではありません。 

ほかに、血液または尿を少量採取して、がんのリスクを判定するという検査方法が、一般の方にひろまっています。 

これはがんに罹っていることを調べるのではなく、あくまでリスク判定です。 

リスク判定がCだったと、あわてて乳腺外科外来を受診する方が、たびたびいらっしゃいます。

判定用紙をみせていただくと250人に1人が乳がんの可能性があると記載されているものがありました。 

現在乳がんは、9人に1人が罹る時代です。

全女性にリスクがあるといっても、言い過ぎではありません。 

乳がんは、初潮が早い、閉経が遅い、肥満、飲酒、たばこ、妊娠・出産をしていない方などがリスクが高いですが、一つも当てはまらなくても、乳がんに罹らないわけではありません。

早く見つけるためには、乳がん検診を定期的に受けることです。 

今後は医学のさらなる研究により、血液や尿などの体液で、がんを早期に診断できる時代がくる期待がありますが、現状は画像診断を用いたがん検診が基本で、腫瘍マーカー測定はあくまで補助的診断であることを知っていただけたらと思います。 

そして、手軽にうけられるがんリスク検査については、リスクが高いと示されたら、まずはがん検診を受けに行きましょう。 

乳がんはマンモグラフィ検査と必要に応じ超音波検査を併用した検診が基本です。 

大腸がん検診は便潜血検査でスクリーニングを行いますが、出血しているかどうかを調べる検査なので、大腸がんの好発年齢である50歳以上のかたは、人間ドックなどで、一度大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。 

いずれの検査も、札幌フィメールクリニックで実施しています。 

新しい年度が始まっていますので、健康診断ももちろん、がん検診を受ける予定をぜひ立ててほしいと思います。 

 

Akiko 

 

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