乳房インプラント
クリニックでは、乳がんの診断に至った場合、乳房再建手術が保険適応であり、どのような方法があるのかも、患者さんに伝えています。
再建術には、人工乳房(インプラント)を使う方法と、ご自身の広背筋や腹直筋組織を使う方法があります。
ご存知の方もいると思いますが、今年7月25日に、日本で唯一使用されていた、アラガン社の乳房インプラント(乳房のふくらみを作るために使う人工物)が、全世界で販売中止、自主回収が実施されました。
その理由は、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫という、乳がんとはまったく異なる病気が、頻度は低いですが、発生することがわかったからです。
今年4月にフランスで使用禁止となり、その後シンガポールとカナダでも順次販売中止と使用禁止が決まりました。
そして7月、アメリカのFDAの指導で自主回収に至りました。
インプラントを使った乳房再建術とは、手術で乳腺を摘出した後に、エキスパンダーと呼ばれるものを一定期間入れておき、十分に皮膚を伸展させてから、乳房インプラントに入れ替えるという方法です。
このエキスパンダーも回収の対象ですが、すでに乳がんの手術を終えて、エキスパンダーを入れる段階が済んでいる患者さんも大勢います。
とても不安を感じていると思います。
現在、早急にあらたな材料の承認を進めているようです。
また、異なるタイプのインプラントは販売が再開されていますが、日本人女性の一般的な乳房の形と、少し違っています。
日本形成外科学会のホームページで情報提供を行っていますので参考にしてください。
http://www.jsprs.or.jp/member/committee/detail.html?num=19
少しでも不安のある方は、まず主治医に相談してくださいね。
Akiko