良い腸内環境を保つ
昨日のbrilliant days F では、良い腸内環境を保つことが大切ですよ、というお話をしました。
腸内細菌が身体に与える影響については、非常に研究が盛んにおこなわれている分野で、病気のあらたな治療法の発見につながる期待もあり、医学の分野ではたいへん注目されています。
糖尿病やリウマチ、がん、パーキンソン病、メタボリックシンドローム、肥満、アレルギー性疾患など、さまざまな病気との関連が研究されています。
特定の病気の人の腸内細菌の種類や割合について、極端に少なくなっている細菌があるのかなどについて調べられ、腸内細菌の構成を調整することで病態がよくなるかなど、治療法につながることを目指しています。
北海道大学の中村教授らの研究によると、ストレスが強く、うつ状態になるような場合は、小腸から分泌されるαディフェンシンという物質が減ってしまい、それにより腸内細菌叢と腸内代謝物が異常をきたし、腸内環境が壊れることを明らかにしました。
これまで、うつ状態が身体にも影響を及ぼすことは知られていましたが、メカニズムについてはわかっていなかったそうです。
ストレス下ではおなかの調子も崩しやすいということを、科学的に示したことになります。
αディフェンシンは抗菌ペプチドと呼ばれるもののひとつで、小腸のパネート細胞から分泌されます。
抗菌ペプチドというのは、殺微生物作用をもつ自然免疫の一つです。
外敵とみなした菌を殺菌する働きをもっていますが、常在菌に対しては攻撃しません。
腸内の恒常性を保つ働きがあるため、これが減ってしまうと、腸内環境の悪化につながってしまいます。
腸は私たちの健康の維持のために、常に外敵の侵入に備え、陰ながら活躍する存在です。
その腸内の環境を整えるためには、腸内細菌のエサである食物繊維をしっかりとることが大切です。
以前、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維についてお話をのせたことがありますので、ご参照ください。
http://sapporo-fc.net/2019/04/19/kinoko2/
http://sapporo-fc.net/2019/04/20/teishoku/
私はクリニックで、お通じの管理のために整腸剤を処方しています。
ビフィズス菌製剤であるオフェルミンや酪酸菌製剤であるミヤBMを処方することが多いのですが、便秘や下痢の状態をやさしく改善してくれる良い薬です。
一般用に販売もされています。
整腸剤は、人により合うもの合わないものがあり、一部の人には、思うような効果が出ない場合もありますが、お腹の調子を整えたいという方は、まず初めに試してみると良いと思います。
これらの薬は1錠あたりにたくさんの菌を含んでいますが、胃酸に弱いため、かならず食後に服用することが大切ですので、用法を守って服用してください。
Akiko