乳房の皮膚炎

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昨日のAIR-G 「ふふふ」では、乳房の皮膚炎のお話をしました。 

札幌フィメールクリニックの乳腺外科外来には、乳房のしこり、痛み、乳頭分泌や違和感などを訴えて受診される方が多いですが、その他にも乳輪乳頭部分のかゆみとただれの症状で受診される方も多くいらっしゃいます。

ただれにより乳頭からつゆが出ることがあるので、乳がんなどの心配をして来院されます。 

実は乳輪乳頭がただれるという症状が出る、パジェット病という珍しいタイプの乳がんがあります。 

このパジェット病は、パジェット細胞というがん細胞が乳頭から発生して、乳輪へと広がっていきます。

長いこと乳頭のただれが治らないというのが主な症状です。 

パジェット病でもかゆみを伴うことがありますが、皮膚炎の場合は、強いかゆみを伴うことが多く、寝ている間も無意識にポリポリ掻いてしまうほどの場合もあります。 

パジェット病ではなくても、乳頭近くに発生した乳がんが、乳輪乳頭に浸潤して、皮膚ただれをおこす場合もありますので、直近にマンモグラフィ検査や乳房の超音波検査を受けていない方には、一通り検査を受けていただきます。 

検査で異常がなければ、ステロイド軟膏や保湿剤で症状が改善するか2週ほど経過をみてもらいます。

かゆみが強い場合は、抗アレルギー剤の飲み薬を処方します。 

多くの方は、1~2週間の治療で改善しますので、その後は落ち着いていたらお薬を休んでいただき、すこしでもかゆみを感じたら、放っておかずに軟膏治療をするようにお話します。

この皮膚炎は、敏感肌の方やアトピー性皮膚炎のある方が多い傾向があります。 

軟膏治療で改善しない場合は、ただれている部分の組織を一部採取して、病理検査に提出し、異常な細胞がないか確認することもあります。 

乳房の皮膚炎は、皮膚科領域の病気ですが、患者さんの多くは皮膚科に相談にいくのをためらう方が多いようで、乳腺外科を受診されるようです。 

なかなか治らない場合は、専門である皮膚科に相談に行ってもらうよう促すこともあります。 

乳房は自分でチェックできる臓器ですので、月1回のセルフチェックを行って、変化がないか確認してくださいね。 

 

Akiko

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