乳腺の良性腫瘍

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昨日のAIR-G brilliant days Fでは、乳腺の良性腫瘍のお話をしました。 

乳腺にできる良性腫瘍の代表格は線維腺腫(せんいせんしゅ)です。

日々の診療で診断する機会はとても多い疾患です。 

30代から40代に好発しますが、初潮を迎えると10代でも発生することがあります。 

若い世代に好発するので、ご自身でしこりがあることに気が付き、受診して診断される場合が多いですが、無症状の方が超音波検査を受ける機会があると、見つかることもあります。 

画像診断と細胞や組織を採取する病理学的検査で線維腺腫と診断がつくと、期間をあけながら経過観察を行います。

線維腺腫は女性ホルモンの影響を受け、徐々に大きくなるものがあるためです。 

その中に、短期間で急速に大きくなるものがあります。

その場合は、線維腺腫との鑑別診断が難しい葉状腫瘍(ようじょうしゅよう)の可能性があるため、摘出術を行います。 

とくに10代にみられる線維腺腫は、画像診断や病理学的診断を用いても、葉状腫瘍との区別が難しいことがあり、その割合は15%ほどであるともの報告されています。

急速に大きくなる線維腺腫を摘出したところ、最終病理結果は葉状腫瘍であったということもあります。 

では葉状腫瘍とは? 

線維腺腫と非常によく似た構造をもつ腫瘍で、多くは良性なのですが、一部に悪性成分を持つものがあります。

がんではないのですが、悪性のものは再発を起こす傾向が強く、他の臓器に転移を起こすこともあります。 

分かりにくいかもしれませんが、良性腫瘍というのは、発生した場所で大きくなることはあっても、ほかの部位に転移を起こすことはありません。

これが悪性との大きな違いです。 

組織診断で葉状腫瘍とわかった場合は、摘出術を行います。 

札幌フィメールクリニックでは、全身麻酔での手術が必要な場合は、連携施設へ紹介可能です。 

腫瘍がさほど大きくなくても、乳房の外側や乳房下のラインの目立ちにくいところに皮膚切開をするなど、術後の見た目についてもストレスが軽減するよう工夫しています。 

すでに線維腺腫と診断されている方は、もしかして葉状腫瘍なのではないかと不安に思ってしまうかもしれませんが、葉状腫瘍の頻度は全乳腺腫瘍の1% 程度とされていますので、頻度は低いです。 

大切なのは、線維腺腫と診断されていても、定期的に検査を受けて、腫瘍が大きくなっていないか判断してもらうことです。 

良性と言われると安心し、痛みなどの症状もないため受診が先延ばしになってしまいう方もいますが、ぜひ主治医のもとで定期的に検査を受けてほしいと思います。 

 

Akiko 

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