切らないがん治療
昨日のAIR-G brilliant days Fでは、切らないがん治療のお話をしました。
がんは今、日本人の2人に1人がかかる病気です。
治療法はどのがんにおいても年々進歩しており、がんに罹っても完治できる期待も高くなってきました。
先日は、遺伝子変異を伴う乳がん患者さんにおいて、乳がんにつながる遺伝子変異が10代から起こっているということがわかり、ニュースに取り上げられていました。
またその遺伝子変異は、妊娠・出産を経験すると、その数が減少することも分かったそうです。
これまで妊娠出産の経験のない女性は乳がんのリスクが高いことはわかっていましたが、遺伝子変異においても影響があるようです。
身体の臓器で腫瘍をつくるがんを固形がんとよびます。
この固形がんに対して、ラジオ波焼灼療法という治療法があります。
肝臓がんや肺がんなどに適応がある治療です。
このラジオ波焼灼療法とは、がんに高周波のラジオ波帯を流し、ジュール熱を発生させて腫瘍を焼く治療です。
AMラジオの周波数と近い高周波で、手術の際に使う電気メスも同じ原理です。
このラジオ波焼灼療法は、これまで乳がんには適応がありませんでした。
ただ、自由診療という形で2000年ころから「切らない治療」として行われてきました。
保険がきかないので、治療費は全額自己負担ということです。
ところが、再発や転移がみられるようになったことから、日本乳癌学会が注意喚起をし、2013年にRAFAELO試験という臨床試験を開始しました。
この臨床試験の最終報告は、まだされていないのですが、早期解析の結果から薬事申請され、専用の治療装置が乳がんにも適応拡大されました。
実際に治療の現場で導入されるのはこれからで、実施するにあたっては経験豊富な医師が研修も受けたうえで行うことが必須で、かつがんの大きさ、がんは1か所だけであること、リンパ節転移がないこと、遠隔転移がないことなど治療の適応となる条件が定められています。
乳がんを手術で治療する場合は、がんのまわりに正常な乳腺の組織をつけて切除する必要があり、がんが小さくても、切除量はがんの大きさよりも大きくなります。
この治療を適切に行う条件と環境がととのえば、早期に発見された乳がん患者さんに、新たな治療法の選択肢が増えることになります。
素晴らしい。
乳がんは、早くにみつかると生存率がとても高いがんのひとつです。
セルフチェックで毎月変化がないことを確かめながら、年1回の乳がん検診を受けてほしいと思います。
Akiko